コメント

    2.この本をあなたに捧げます

    友人同士、食卓を囲んで乾杯。w is for wasted
    乾杯!Pexelsのfauxelsによる写真。

    表紙を開くと、一続きの固い表紙・背表紙・裏表紙と綴じられた本体を、前と後ろで糊付けして一冊の本に繋ぎ合わせる赤い堅牢な紙が現れる。その赤いページをめくると、中表紙。小さめの書体で中ほどに、W is for Wastedと題名が端正かつ控えめなデザインで現れる。次は見開いた左ページに作品リスト、右ページに超極太の字でページいっぱいに書かれた著者と作品名。さらにめくると、左側に発行所、印刷所、著作権関係情報、など。

    表紙を開けると赤い固い紙のページが出る。

    W is for Wasted。

    そして右側。簡潔に、献呈。
    この本を~さんに捧げます。というアレ。
    この本W is for Wastedは二組の(友人)夫婦に献呈される。短いメッセージを添えて。

    W is for Wastedの献呈のページ。

    W is for Wastedの献呈。

    これって凄いことだ、名誉なことだ。名前は?と尋ねられ、さらさらと中表紙に中細マジックで、Dear Margoと宛てて直筆サインをしてもらうよりずっと凄い。何しろ、購入した読者の数だけ、グラフトンがその人にこの本を捧げたことが知らしめられるのだから。

    不満のあまり腕組みをする少女。

    あーあ、残念。

    でも、残念、ほとんどの読者が一瞥することもなく、このページは飛ばしていく。少しでも早く、新しいキンジーの世界に入っていくために。あーあ、ここにもグラフトンの「心」がこんなにも溢れているのに。飛ばしていった読者がいつか戻ってきて、しんみりその数行のページを見つめてくれたらグラフトンもさぞかし喜ぶことだろう(いつか読んでね)。

    本の内容に満足する(幼児)。

    いつか読んでください。

    グラフトンは最初のA is for Alibiを父親に捧げた。次のB is for Burglar は夫スティーブンに。それ以降は、子どもたち、妹、母親二人、編集者たち(と思われる)、とまずは日頃気にかけている・世話になっている大切な人たちに。それが、Kinsey Millhone Mysteries (アルファベット・シリーズ、アルファベット・ノベルズ、キンジー・ミルホーン・シリーズという呼び方もあります)が順調に売り上げを伸ばし始める、1982年から1990年まで(AからGまで)の献呈。

    テレビ・ドラマの執筆はやめ、グラフトンは1991年のH is for Homicideから作家としてKinsey Millhone Mysteriesの執筆に専念する。運気は右肩上がり、絶好調。この頃はグラフトンも密かに献呈の順番を考えて、リストも作っていたに違いない。でも献呈は永遠には続かない。何しろAからZまで、たった26冊しかないのだから。この人に捧げればあの人にも捧げなくてはならない。あら、どうしましょう。そこで4人一緒に、とか定期的な集いのメンバーに、とか工夫をする。サクサクと続く友人への献呈がそれを物語る。

    それが1998年のN is for Nooseで一変。献呈の対象が再び家族になる。夫スティーブンから始まり、子どもたち、孫たち。それは2000年を目前に控えた頃のこと。きっと次々孫が生まれた頃、そして、グラフトンの健康に陰が差し始めた頃なのかもしれない。この年以降最後まで、家族の他は、サンタ・バーバラ警察とか、編集者とか、夫の一族郎党とか、特別な人たちへの献呈となる。

    ラリー・ウェルチという人が誰なのか、はよくわからないが、この人とパムという女性に宛てた献呈の辞は圧巻だ。とても大切な人たちだったに違いない。

    小型船の舵。

    見知らぬ港へ舵を取る。

    すでに私たちの許を発って、見知らぬ港へと舵を取っているラリー・ウェルチ、
    そして、まだ航行の途中、外洋で操舵を続けるパムへこの本を捧げます。
    お二人とも、どうぞ、ご無事な旅を。

    波の高い大海原。

    大海原。

    2015年の X は4人の子どもたちへ向けた献呈。特に、Zを残してアルファベット・シリーズの最後の一冊となった2017年のY is for Yesterday、この献呈の辞がお別れの言葉でなくて何だろうか。

    未来を生きる若者。

    未来を生きる若者。

    この本を私たち小さな一族の
    未来を引き継いでくれるあなたたちに捧げます。
    アディソンとテイラー(グラフトンのミドルネーム)、
    キンジー(!!!!) とヒューストン、
    エリンとダニエル、
    そしてジェイコブ。
    正直に、気高く、心優しく在りますように。
    時には歳取ったおばあちゃんに暖かい声援をお願い。
    信じられないほどあなたたちを愛しています。

    4段に分けて書かれている名前、きっと4人のお子さんそれぞれの子どもたち。

    フレー、フレーと声援する7人。

    フレー、フレー!! PexelsのMin Anによる写真。

    たかが献呈の辞。でも、大切な人への永遠に残るメッセージ。

    そう、この本、W is for Wasted、にもメッセージがあったのだった。

    友人同士が集って食事。

    友人と食事。

    二組の友人夫婦に宛てたメッセージは、「友は永遠、それについての本です。」
    読者の皆さん、共有しましょう、この本は友人・友情の話

    コメント

    タイトルとURLをコピーしました