新しい試みで読みながら記事を書いています。最後まで読み終わったのですが、記事はまだ第8章にあります。
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    4.ノラを深掘り

    ノラのイメージ。V is for Vengeance
    ノラ。Pexelsのcottonbroによる写真。

    ノラは有閑マダム。と言っても、非常に異色。

    決定的に異なるのは、彼女はアラ・50で、美人・頭脳明晰・金持ちである上に、勉強をして株の売買できちんと経済的自立をしていること。金満家に乞われて結婚し、私がいるだけで幸せと思わなきゃ、と言わんばかりに何の心的負担も感じることなく夫の金を放縦に使う神経は持たない。しかし、高価な買い物をするたびに夫の許可を得なくてはならない状態は、窮屈と卑屈が強いられるので好まない。彼女は努力をして、望むものをきっちり自力で手に入れる状態を整えた。

    ノラのホーム・オフィス。

    ホーム・オフィス。PexelsのVisually Usによる写真。

    彼女が頑張って自立を図るに至った背景には、まだ息子が11歳だった頃の、銀行家であった先夫の突然の死がある。先天性心臓疾患があった夫は保険に加入できなかったので、彼の急死でノラと息子は突如一文無しになる。その二人の前に現れたのが、現在の夫、ハリウッド特化の弁護士。彼と結婚した後、ノラは自立を目指した。

    金・銀・銅のパスポートに自立が加わわれば、これはもう、女の最強武装。
    これからの女の理想形。
    これまでの女だったら、ノラの生活に涎を流すだろう。メード、庭師、お抱えシェフ、美容院、エステ、ニューヨークまで行って誂(あつら)える一点物デザイナー・カクテル・ドレス。

    カクテル・ドレス。

    カクテル・ドレス、いろいろ。

    普通はノラのように家事を外注する資力がないため、自分ですべてをこなす。そしてふとした瞬間、多くの女が、そうした些事に一生を縛られている、と暗澹たる思いに囚われる。人の生活のすべての面を支えるのは些事だ。生物学的な体力の適性による合意に基づいたのか、伝統的に些事は女の仕事だった。些事も積もれば大仕事。これに子育てが加わり、女の1日は些事だけで過ぎていく。しかも。家庭に監督者が必要であるのは組織に課長や部長や社長がいるのと同じ。監督者がいない家庭は脆弱。だから、やむなく、女はその仕事も引き受けている。ますます時間が奪われる。

    そうした事態を不本意と思う女にとって、三つのパスポートと経済的自立が必須となるのだ。

    手入れの行き届いた家。

    手入れの行き届いた家。

    あなたに家庭よりも高い優先事項があるのならば、またあなたが女の勲章(と言われる磐石で常に活気に溢れた豊かな家)は特に欲しくないと思うのならば、ここは潔く割り切ってよい。こまごまとした些事は、ノラのようにそっくり専門家に卸す。自分でもできる、けれど託せばプロの仕上がり、そして自由になる時間がギフト・ラッピングの中。いや、何も家にまつわる事だけに限らない。目前のストレスとなっている事・物をひとつひとつ見定め、それを排除するように外注すればいいのだ。ストレスのない状態で、達成したいもの・獲得したいもの・叶えたいことに専念・邁進する。親にも夫にも頼ることなく自力で自分を強くする。

    平和の考察の源となるクリスマスの家族の光景。

    「幸福」の研究、とか。PexelsのIrina Novikovaによる写真。

    美人でなくても魅力的な容姿に恵まれ、天才ではなくても聡明、年齢相応の貯えがあり、自分の収入で生活している。そういう女は諸条件が整った時点で確固とした自分の望む世界を構築することができる。例えば専門の分野で起業できる、大学院で博士号を獲得してさらなる高みで夢を実現できる、田園地域に移住して創作活動に専念することもできる。機会は可能性は手を伸ばしたところで待っている。

    でも気をつけなくてはならない。結婚すれば、女の自立は夫との関係悪化と背中合わせ。互いに自立した男女の結婚というものに、女も男もまだよく慣れていないからだ。良い関係を保つためには、細心の注意と優れたバランス感覚が必要。互いに自由な状況にありながらそれでも互いを尊重し必要とする関係、結婚の継続が有意義であると納得できる関係、を育てていかなくてはならない。共に暮らしながら、目立たないところで相手を思い遣る、そうした優しい関係を築き維持しなくてはならない。

    床に落ちて割れた花瓶。

    問題が発生。PexelsのAnastasia Shuraevaによる写真。

    そうした努力がおざなりになったのは、ノラの非であった。

    何でも自由にできる環境で自分のことにかまけるあまり、夫への関心がずっと疎(おろそ)かになっていた。それに、彼女の意識のずっと深いところで、今の夫との結婚はノラの打算であった、ことに彼女はうすうす気づいている。

    花束を持つ男。

    彼かな?PexelsのQuintin Gellarによる写真。

    努力しても結婚が行き詰まったら、打開策を打てばよい。その策がどれもうまくいかなければ残念だが離婚すればよい。条件にあった別の男は必ず現れる。

    自転車に花を載せて。

    いや、彼かな。PexelsのMelike Benliによる写真。

    ノラだって現状を打開する。いつもの慎重さを捨てて、直感で動いた。そうできる自由があった。

    人生の春が再び訪れる。。

    春の訪れ。PexelsのKarol Dによる写真。

    参考までに、私がイメージするノラは、例えれば、エリザベス・テーラーと当記事先頭の女性の中間点。テーラーの色白の肌はそのまま、インパクトをずっとずっと弱くする。眉も目元もずっと控えめな色に。冒頭の女性は年齢的にノラのイメージに近いが、線が細いのに派手。彼女の印象をもう少しテーラーのきりっとまとまった感じに近づけたら、それがノラ。

    美人の代名詞、エリザベス・テイラー。

    往年の大美人女優。Image by WikiImages from Pixabay 。

    座った姿にも凛とした美しさがある。ダンテがチラと見ただけで彼女に惹かれたのは、母親のほっそりした姿と似ていたから、とグラフトンは書くが、これは大いに怪しい。というのも、彼の母親はかなりたっぷりした体つきをしていたはずだから。何しろ、ダンテを筆頭に合計6人の子どもを産んでいる。それも、わずか8年の間に。

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