Grafton の筆力

X

Xとは何だ?(後半)

Xはすんなりとは始まらない。(初期混乱の交通整理の次は)本文中に埋め込まれた様々なXから、本命を絞り出し、この本の題名の意味が解明する。この本にも二つのストーリーが並行。老探偵が残した昔の訴訟案件ファイルから古い事件が浮かび上がる。そして、陸運王夫婦に訪れた危機。その両方をキンジーは解決する。
X

第1話:X とはなんだ?(前半)

シリーズ第24話は、題名がいつものパターンから外れる。xで始まる語に窮しても、スマートに犯罪小説を1冊書くことができるのが、著者スー・グラフトン。彼女の揺らぐことのない意志が、そのままこの迫力ある題名から伝わる。生活の中のxを見るだけでも、胸が躍る。その期待感は後半さらに深まる。
w is for wasted

15.サイコパスの犯罪

グラフトンは異常さを示すシーンを積み上げ、この男がサイコパスであることを読者に知らせる。 サイコパスとは、精神の病いを持つ人のことだ。決しておどろおどろしい犯罪を犯す人間のことではない。その病いゆえの共感・良心の欠落が原因で、驚くよう...
w is for wasted

14.老探偵ピートの不可解

生真面目なキンジーには理解できない、ズルでルーズな探偵ピートは、久々の仕事で依頼人に法外な調査費を請求する。その時の調査から浮上したスキャンダルに気づくと、彼はその主の医師を脅迫し口止め料を受け取る。脅迫の原因が突然に解消した医師は、彼に前金の返還を要求するが、ピートは応じようとしない。
w is for wasted

13. そうか、もう終わるんだ

残るは後3作になった。著者グラフトンは焦る。なぜか。心の準備ができていない。突然、感傷に襲われる。それに。使い損ねた素晴らしいイメージ・比喩・言葉・句、逸話・笑い・しんみりがたくさん溜まっている。これを全部どこかで使いたい。いろいろ書きっぱなしだったこと、まとめておきたい。大急ぎで。
w is for wasted

10.貧して鈍する:新しい親戚

キンジーの突然の出現に、老人の家族は驚愕。それが落胆さらに怒りに変る。すべてキンジーの想定内。事実の受け入れ方に、性格が出る、本質が顕わになる。混乱する家族の反応を書きながら、グラフトンは異なる個性を書き分ける。キンジーに向けられた嫌がらせも、新しい家族を受け入れる適応過程の一つに過ぎない。
w is for wasted

6.キンジーつぶやく

キンジー・シリーズの人気の秘密は、第一人称の選択、にあった。「地の文」に表れる彼女の思考の多様性・複雑性が遠いところから、はっきりと聞こえるからである。小説のテレビ映画化に携わっていた間に備わった技術と思われるが、文字から「映像そして声」までを再現、豊かな世界が堪能できるからである。
w is for wasted

5.化学元素周期表を推理

両親が交通事故で死亡すると、5歳の孤児キンジーを引き取ったのは、母の妹、独身のジン。そのジンは、キンジーにたくさんのことを暗記させる。九九や世界の長い川だけではない。英国の歴代王・女王の名前、世界の宗教、と多様。でも、なぜ「化学元素の周期表」まで?ここでこの謎を推理。
w is for wasted

1.「Wはダブル・ストーリーの歪」

1988年の秋、二人の男が殺される。一人目は老探偵、二人目は見知らぬ他人。それが、社会病質者と彼の犯罪、そしてこれまで埋もれていたキンジーの父親サイドの親族発掘、へとキンジーを導き、それぞれに大小のエピソードが絡み、やがて二人の死は絡み合って収束。登場人物のとても多い話となった。
V is for Vengeance

7.事件後日譚

日米の推理ドラマ制作法には違いがある。底辺には、余韻の味わい方への国民性が透けて見える。ダンテとノラの恋の行方は十分には語られない。が、どうも実る恋のようだ。グラフトンが用意した周到な「罠」に填まり、読者は二人の幸せな結末を信じる。事件終了後、キンジーはようやく祖母との再会を果たす。
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