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    キンジーの周りの Made in Japan 1 – Sony –

    工業地帯俯瞰図。T is for Trespass
    工業地帯。JamesDeMersによるPixabayからの画像。

    日本とは関係のない小説に日本のものが出てくると少し嬉しい。『A』から『R』にもmade in Japan は出ていたかもしれないが、それはまた次のお楽しみ。T is for Trespass に出てきた日本製のものは三つ。

    ヘッドフォンの置き場。

    ヘッドフォン。

    1.1987年のヘンリーと二人だけのクリスマス、一緒に開けたプレゼント。キンジーがもらったのは、Sony の headset (ヘッドフォン)と歩数計。キンジーがあげたのは、アンティークの3分砂時計とBernard Clayton’s New Complete Book of Breads (パン作りに興味がある方、この本は実在する本です。検索をするとヤフオクでもAmazonでも購入可能)。

    アンティークの砂時計。

    3分砂時計。51A6DzQzQhL._AC_UL480_FMwebp_QL65_sandglass。

    この年1987年を遡ること8年ほど、私は仕事で日本規格協会を訪ねた。そこの理事の一人に、規格や標準化という概念を教えてもらった。講義のあと、彼が楽しそうに語ってくれた工業科学技術の話に、私はいたく感動した。ステンレスの円筒容器に同じ径のステンレスボールを入れると、どうなると思いますか?ボールは静かに、滑るように、ゆっくり落ちていくんです。この容器とボールが作れるのは、日本と(少し間をおいて)ドイツぐらいでしょうか(記憶は正確ではありません、間違いがあったらお許しください)。

    新版 ジャパンアズナンバーワン

    ジャパン・アズ・ナンバーワン、https://m.media-amazon.com/images/I/91yP0bmCxDL._AC_UL480_FMwebp_QL65_.jpg

    エズラ・ヴォーゲルが『ジャパン・アズ・ナンバーワン』を著わしたのもこの頃だ。この本は広く読まれた。一般市民の多くは(この本を読んでいなくても)、日本の優秀さを、それはそうだろう、と当たり前のことのように受け止めたような気がする。大企業がどんどん海外進出を果たして成功、日本中に自信が漲っていた。

    ビデオカセットの録画システム

    VCR。InspiredImagesによるPixabayからの画像。

    私たち夫婦が産まれたばかりの息子を連れてアメリカへ行ったのも、この頃のことである。到着して大学で出会った牧師にある日、家に招かれたことがあった。牧師の妻は、私にソニーのテレビの下に置かれたVCRの説明をした。彼女はソニーが日本の企業であることを知らなかったし、VCRも日本ではVTRという名前で全家庭で使われていることも、そもそも外国のことは、あまりよく知らない様だった。東洋研究者でなければ、そんなもんだろう、と私は思った。

    ロケットの打ち上げ。

    ロケット打ち上げ。WikiImagesによるPixabayからの画像。

    それから40年。今や、世界の工場の分布図が大きく塗り替えられた。中国は一時期、軽工業製品の「世界の工場」だったが、それも卒業して、そうした工場はタイやバングラデシュに移った。中国は何と、宇宙科学やITや他の先進科学で世界のナンバー・ワンになる、という大きな目標に向かって突き進んでいる。人口が世界第一。頭脳優秀者の数も。きっと到達するのだろう。

    工業地帯俯瞰図。

    工業地帯。JamesDeMersによるPixabayからの画像。

    日本が「ナンバー・ワン」の栄誉は返上しても、日本が衰退することはない。同じ鉄製品と言っても、最高級の鉄でなくてはならないもの、最高の品質などむしろ不要であるもの、といろいろある。これまでの経験から蓄積した技術力とノウハウで、日本は最高品質のニーズに応えることができる。世界の文化が均一化に向かっているとき、こうした細かい品質に応じた需要が、世界を等しく潤すことになるのだ。

    居間に飾られたクリスマス・ツリー。

    ヘンリーの居間のクリスマス・ツリー。PexelsのBrett Saylesによる写真。

    1987年のクリスマス、ツリーの下には日本のヘッドフォンがあった。ヘンリーの3分砂時計はアンティーク。フランスかイタリアで作られたものに違いない。これ以降のアメリカのクリスマス、人々を喜ばせるギフトはもはや自国製品ではなく、「世界製品」が普通になるのかもしれない。

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