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S is for Silence

ふたり

グラフトンは調子が乗ると文中にユーモアを練りこむ。キンジーにもそれが表れる。キンジーの感性はグラフトンの感性。二人が似ているのは、キンジーがグラフトンの分身だから。人の観察基準も、人を見る優しい眼差しも、二人はほぼ同じ。その優しさは大きな魅力だ。
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とにかく細かい:人物描写

事件関係者から話を聞く。バイオレットの夫は、妻の失踪という傷を背負ったままだ。キンジーは目に入るすべての情報を細かく書き、読者に正しい像を伝える。非常に細かい描写が連続するので、読者はいつか、映像を見ているかのような錯覚を覚える。
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「著者からひと言」

本文第一章の前のページは「著者からひと言」。出てくる村や町の名前はすべて創造物なのに、一つだけ実際に存在するSanta Maria を使ったことで、舞台周辺の雰囲気をそのままこの物語の中に借用したことを、グラフトンはここで公言する。
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カードの効用

キンジーが常にバッグに入れて持ち歩いているのが、このカード。大量に使うので、しょっちゅう買い足す。原則、一枚に一つの情報だけを書く。行き詰まった時の救世主。様々な方法でカードを眺めれば、秩序が立ち上がり、客観性が訪れ、解決の糸口になったことしばしば。
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探偵キンジーの資質

キンジーの感受性は意味がないように思える事実をも実は確実に受け止めている。それが蓄積して、彼女はしばしば勘や直感に導かれて真実にたどり着く。屋敷の2階から庭を見下ろしながら、古い昔の記憶により、彼女はバイオレット失踪の謎の糸口を見つける。
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案件依頼の費用

絶品サンドイッチを出すカフェのバーテンダーにそのサンドイッチで買収され、キンジーは34年前も前に失踪した母親の捜索依頼の話を聞く。渋々引き受けることにしたのは、依頼主デイジーが胸に秘めている深い怒りがなぜか気になったからだった。
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視点の切り換え2

第一人称で物語を構築していくには自ずと限界がある。それをよく理解していたグラフトンは、シリーズの後半を過ぎてから、第三人称も使うという大胆な変更を行った。その結果、複雑かつ魅力的な物語ができあがる。キンジーが捜索依頼を受けて、事件が再び動き出す。
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視点の切り換え1

この本が翻訳済みの18巻と大きく異なるのは、視点の切り換えである。これまでは「わたし」によって物語は語られた。がこの本では、「わたし」と「彼・彼女」が頻繁に入れ換わる。後者はすべて1953年の物語。つまり、昔と現在の話の2本立て進行なのだ。
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バイオレット登場

34年前、若く美しい女、バイオレット、が独立記念日の夕刻に失踪する。いつも彼女の娘のベビー・シッターをした少女は、念入りな準備の一部始終を見守り、美しい出で立ちの彼女を見送る。少女が何回も何回も思い出して、今や脳裏に焼き付いたシーンだ。
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“最短書評のS ”

内表紙に意匠を凝らして掲載されたこの世界一短い7書評は、単純に各誌が文句なく感動したことを表している。この本の面白さ、質の高さ、が確実に伝わる。この内表紙を一瞥しただけで、読者は大きな期待を抱きながらページをめくり始める。
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