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T is for Trespass

隣人ガス

ヘンリーの隣人ガスは独居老人。ご多聞に漏れず「捨てる」作業ができず、ゴミの中に住む。いい加減なものを食べ、非常に不健康。「立つ鳥跡を濁さず」を実践しよう。まずは不要なモノの処理。ソラナのように潔く捨てよう。取っておくのは思い出だけ。子供に残すのは財産だけ。
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キンジー vs ソラナ

看護師ソラナに成りすました女が、ガスの家に入り、彼の財産を盗み始める。キンジーとヘンリーは発端から違和感を覚えるが、ソラナの狡知に圧倒・翻弄されるだけ。エスカレートするソラナの強欲さに、キンジーの正義感が燃え上がる。キンジーは憤然と闘いに挑み、勝つ。
T is for Trespass

WHODUNIT (< Who Done It=殺ったのは誰だ)?

Sの次のなるT、はこれまでの事件とはまったく異なる。最初から読者は誰が犯人であるかを知っている。犯人は弱者の家に入り込み、じわじわと財産を盗み始める。そうと知らないキンジーも、重なる違和感が危険信号を灯したとき、悪事は許さない、と決然と立ち上がる。
S is for Silence

後談:宿題はしたけれど

著者のキンジーについての発言の出所を調べるという「宿題」があった。2012年に出版された『キンジーと私/stories』の冒頭に似た表現がある。どうもそれらしい。調べているうちに発見したブログにFacebookに投稿されたグラフトンの訃報が。感謝して共有。
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バイオレット退場

この本が示したのは、グラフトンの技術の巧みさ。そしてストーリー性の確かさ。技巧として新しく指摘されるのが、バイオレット生存最後の半時間の描写に込められたグラフトンの思い。彼女はここで、バイオレットを登場させ、そして読者に彼女が生きている最後の姿=退場を見せる。
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3人の男たち

バイオレットを愛した3人の男は、愛の葛藤を乗り越え、その後の幾多の試練も乗り越え、ビジネスは成功、今やあるべく場所に落ち着いている。真摯な生き方が風格となって漂う。その中に、真剣に生きてきたからよい老人になった、という因果関係の成立しない男が、一人。
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1953年の5万ドル

バイオレットのお宝、サンタ・テレサの銀行の貸金庫に預けておいた現金5万ドル、は1ドル=100円とすると500万円だ。バイオレットの失踪が彼女の金目当てだったとしたら、この金額が殺人の引き金になるのだろうか。そもそも、当時の5万ドル、っていくら位?
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辞書を片手にスー・グラフトンから学ぼう !!

ネイティブと同じレベルの言語力を持つことは困難。中高生の英語力でも、SからYまでスー・グラフトンを原書で読もう。彼女はお勧め。大丈夫、辞書をまめに引きさえすれば、どうしてもわからないことを調べさえすれば。時間はかかる。でも、その結果は素晴らしい。
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ふたり

グラフトンは調子が乗ると文中にユーモアを練りこむ。キンジーにもそれが表れる。キンジーの感性はグラフトンの感性。二人が似ているのは、キンジーがグラフトンの分身だから。人の観察基準も、人を見る優しい眼差しも、二人はほぼ同じ。その優しさは大きな魅力だ。
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とにかく細かい:人物描写

事件関係者から話を聞く。バイオレットの夫は、妻の失踪という傷を背負ったままだ。キンジーは目に入るすべての情報を細かく書き、読者に正しい像を伝える。非常に細かい描写が連続するので、読者はいつか、映像を見ているかのような錯覚を覚える。
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